Classici giapponesi con furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Leggi 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.494 caratteri · 67 schermate
彼女が親の権利を真向にかざして圧しつけて来る時に、それを跳ね返すのは並大抵のことではない。殊に白柄組の申合せとして、第一に義理を重んぜよとある以上、その同盟者たる青山播磨は伯母の権利を飽までも尊重しなければならない苦しい事情の下に置かれていた。その伯母が大久保なにがしの娘を嫁に貰えというのである。自我が強いだけに、また一面に於ては義理も強い彼の性格から考えて、最後までも伯母に楯をつく勇気があるか、ないか、お菊にはそれが覚束なくも思われた。
これを煎じつめて行くと、伯母は甥をおしつけて無理に婚姻を取結ばせる。主人は家来をおしつけて無理に恋を捨てさせる。こうした悲しい運命の落ちかかって来る日がないとは受合われない。お菊の取越し苦労はそれからそれへと強い根を張って来た。
「殿様はそんな嘘つきではない」
彼女は又思い直して、自分の狭い心を自分で嘲った。人間の掟も浮世の義理も、所詮は男の心ひとつである。頼む男の性根さえしっかりと極まっていれば、どんな嵐も恐れるには及ばない。男の梶のとり方ひとつで、どんな波風と闘ってもきっと向うの岸へ流れ寄ることが出来る。主人も家来も今更考えるには及ばない。