Classici giapponesi con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Leggi 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.507 caratteri · 291 schermate
その間にもいろいろのお話がございますが、余り長くなりますから申上げません。そこで今朝はいよいよ発つということになりまして、継子さんとわたくしとは早く起きて風呂場へはいりますと、なんだか空が曇っているようで、廊下の硝子窓から外を覗いてみますと、霧のような小雨が降っているらしいのでございます。雨か靄か確かにはわかりませんが、中庭の大きい椿も桜も一面の薄い紗に包まれているようにも見えました。
「雨でしょうか。」
二人は顔を見合せました。いくら汽車の旅にしても、雨は嬉しくありません。風呂にはいってから継子さんは考えていました。
「ねえ、あなた。ほんとうに降って来ると困りますね。あなたどうしても今日お帰りにならなければいけないんでしょう。」
「ええ。火曜日には帰るといって来たんですから。」と、わたくしは言いました。
「そうでしょうね。」と、継子さんはやはり考えていました。「けれども、降られるとまったく困りますわねえ。」
継子さんはしきりに雨を苦にしているらしいのです。そうして、もし雨だったらばもう一日逗留して行きたいようなことを言い出しました。わたくしの邪推かも知れませんが、継子さんは雨を恐れるというよりも、ほかに子細があるらしいのでございます。