Classici giapponesi con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Leggi 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.507 caratteri · 291 schermate
」
「これが貴重な薬草だということが発見されるといいんですがね。」と、僕は笑った。
「そうなるとしめたものですが……。」と、彼も笑った。
それからふた言三言話しているうちに、彼はにわかに気がついたようにうしろを見かえった。
「いや、どうもお妨げをしました。まあ、たくさんお釣りなさい。」
市野は低い堤をあがって行った。水の上はまだ明るいが、芒の多い堤の上はもう薄暗く暮れかかっている。僕は何心なく見かえると、その芒の葉がくれに二つの白い影がみえた。ひとつは市野に相違なかったが、もう一つの白い影は誰だか判らない。しかしそれが女であることは、うしろ姿でもたしかに判った。
虫を捕りに来たなどというのは嘘の皮で、市野はここで女を待合せていたのかと、僕はひとりでほほえんだ。それと同時に、このあいだ乗合馬車から姿をかくしたあの芸妓のことがふと僕のあたまに浮かんだ。夕方のうす暗いときに、ただそのうしろ姿を遠目に見ただけで、市野の相手がどんな女であるか、もちろん判ろうはずはないのだが、不思議にその女があの芸妓らしく思われてならなかった。なぜそう思われたのか、それは僕自身にも判らない。