Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
いや、たしかにほんの一瞬間、私はさッと顔色を変えました。
「おい、河合々々、教えろよ、ほんとに!」
と、奴等は私の人の好いのを見込んでいるので、何処までもずうずうしく、Hがそう云ってKの方を振り向きながら、
「なあ、K、君は何処から聞いたんだって云ったけな。―――」
「僕ア慶応の学生から聞いたよ」
「ふん、何だって?」
「僕の親戚の奴なんでね、ダンス気違いなもんだから始終ダンス場へ出入りするんで、その美人を知ってるんだ」
「おい、名前は何て云うんだ?」
と、Tが横合から首を出しました。
「名前は………ええと、………妙な名だったよ、………ナオミ、………ナオミと云うんじゃなかったかな」
「ナオミ?………じゃあやっぱり混血児かな」
そう云ってSは、冷やかすように私の顔を覗いて、
「混血児だとすると、女優じゃないな」
「何でも偉い発展家だそうだぜ、その女は。盛んに慶応の学生なんかを荒らし廻るんだそうだから」
私は変な、痙攣のような薄笑いを浮かべたまま、口もとをぴくぴく顫わせているだけでしたが、Kの話が此処まで来ると、その薄笑いは俄かに凍りついたように、頬ッぺたの上で動かなくなり、眼玉がグッと眼窩の奥へ凹んだような気がしました。