Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate

Aozora Bunko

「譲治さん、あたしがいくら冷淡だって、あなたは怒る権利はないわよ。あなたはあたしから取れる物だけ取っているんじゃありませんか。それであなたは満足しているじゃありませんか」―――私は彼女の前へ出ると、そう云う眼つきで睨まれているような気がしました。そしてその眼は動ともすると、

「ふん、何と云うイヤな奴だろう。まるで此奴は犬みたようにさもしい男だ。仕方がないから我慢してやっているんだけれど」

と、そんな表情をムキ出しにして見せるのでした。

けれどもかかる状態が長持ちをする筈がありません。二人は互に相手の心に捜りを入れ、陰険な暗闘をつづけながら、いつか一度はそれが爆発することを内々覚悟していましたが、或る晩私は、

「ねえ、ナオミや」

と、特にいつもより優しい口調で呼びかけました。

「ねえ、ナオミや、もうお互につまらない意地ッ張りは止そうじゃないか。お前はどうだか知らないが、僕は到底堪えられないよ、この頃のようなこんな冷やかな生活には。………」

「ではどうしようッて云う積りなの?」

「もう一度何とかしてほんとうの夫婦になろうじゃないか。お前も僕も焼け半分になっているのがいけないんだよ。