Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
これは私には意外でした。ナオミが金のことを云うのは、書留が来たから為替が這入っていたのだろうと見当をつけているだけなので、まさか私があの本箱の下に隠した手紙の中味を見ていようとは、全く予期していなかったのです。が、ナオミはどうかして私の秘密を嗅ぎ出そうと、手紙のありかを捜し廻ったに違いなく、あれを読まれてしまったとすると、為替の金額は勿論のこと、移転のことも女中のことも総べてを知られてしまったのです。
「あんなにお金が沢山あるのに、あたしに着物の一枚ぐらい拵えてくれてもいいと思うわ。―――ねえ、あなたはいつか何と云って? お前の為めならどんな狭苦しい家に住んでも、どんな不自由でも我慢をする。そうしてそのお金でお前に出来るだけ贅沢をさせるって、そう云ったのを忘れちまったの? まるであなたはあの時分とは違っているのね」
「僕がお前を愛する心に変りはないんだ、ただ愛し方が変っただけなんだ」
「じゃ、引越しのことはなぜあたしに隠していたの? 人には何も相談しないで、命令的にやる積りなの?」
「そりゃ、適当な家が見付かった上で、無論お前にも相談する積りでいたんだ。