Classici giapponesi con furigana
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しろくれない
白くれない
夢野 久作
Leggi 白くれない (しろくれない) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.846 caratteri · 50 schermate
扨は彼の時の珍花の種子を此男の取置きしものなりしかと思ひけれども、何とやらむ云ひ負けたる気はひにて心納まらず。小賢しき口返答する下郎かな。腹の足しにもならぬ花の種子を蒔きて無用の骨を折らむより此間、申し付けし庫裡の流し先を掃除せずや。飯粒、茶粕の類ひ淀み滞りて日盛りの臭き事一方ならず。半月も前に申付けし事を今以て果さぬは如何なる所存にか。主人に向ひて口答へする奴。その分には差し置かぬぞと睨め付くれば、彼の馬十首を縮めて阿呆の如く舌を出し。われはお奈美様をこそ主人とも慕ひ、女神様とも仰ぎ来つれ。御身の如き片輪風情の迷ひ猫を何条主人と思はむや。御身が此の馬十を憎み、疑ひ咀へる事を、われ早くより察し居れり。打ち果さむとならば打ち果し給へ。万豪和尚様の御情にて生き伸び来りし此の生命。何の惜しむ処かあらむ。たゞ後にて後悔し給はむのみと初めて吐きし雑言に今は得堪へず。床の間の錫杖取る手も遅く直江志津を抜き放ち、縁側より飛び降りむとせしに、背後の庫裡の方よりあれよとばかり、手を濡らしたる奈美女走り出で、逸早くわれを遮り止めつ。涙を流して云ひけるやう。こは乱心し給へるか。