Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しらぎく
白菊
夢野 久作
Leggi 白菊 (しらぎく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.486 caratteri · 25 schermate
虎蔵は、その光りを浴びたまま棒立ちになってしまった。鼻息さえもし得ないまま、そうした不可思議な光景を見まわしていた。
それは彼が夢にも予期していなかった光景であった。……否……彼が生れて初めて見る不可解な部屋であった。彼の頭脳では到底、理解出来そうにない人形ばかりの小宇宙……この上もなく美しい桃色の微笑の世界……その神秘と、平和にみちみちた永遠の空虚の中に、偶然に……真に偶然に迷い込んでいる彼自身の野獣ソックリの姿……。
彼は気もちが変テコになって来た。頭がガランドウになって、今にも眼がまわりそうに胸が悪くなって来た。
彼はヨロヨロと背後によろめいた……が……又も、ひとりでに立止った。そうして彼自身の浅猿しい姿を今更のように見まわしながら、何故ともわからない、長い長いふるえた溜息をしかけた。同時に、全身にビッショリと生汗を掻いているのに気が付いたが、そのうちに又、フト気が付いて、見るともなく丸卓子の向う側を見るとハッとした。頭の毛がザワザワと駈け出しかけて又止んだ。
丸卓子の向うの仄暗い右側には、黝ずんだ古代雛……又、左側には近代式の綺羅びやかな現代式のお姫様が、それぞれに赤い段々を作って飾り付けてある。