Classici giapponesi con furigana
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しらぎく
白菊
夢野 久作
Leggi 白菊 (しらぎく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.486 caratteri · 25 schermate
と絶叫しながら……。
彼は今一度ブルブルと身震いをした。鮮やかな空色と、血紅色と、黒色の稜角を、花型に織り出した露西亜絨氈の一角に、泥足のままスックリと立ち上った。右手に持ったマキリを赤い光線に透かしてみると、眼と口を真白く見開いて、声のない高笑いを笑いながら、おもむろに仄暗い丸天井を仰ぎ見た。
それはさながらに鉄の檻を出た狂人の表情であった。
彼は何の躊躇もなく悠々と寝台に近寄って、薄い黄絹を引き捲くった。白いレエスに包まれている少女の、透きとおった首筋の向う側に、イキナリ右手のマキリを差し廻わしながら、左手でソロソロと緞子の羽根布団をめくった。同時にモウ一度、彼独特の物凄い笑いを、顔面に痙攣らせた。
「……エヘ……エヘ……声を立てる間はねえんだよ。ええかねお嬢さん。温柔しく夢を見ているんだよ……ウフウフ……」
それから返り血を避けるべく、羽根布団を引き上げながら、すこしばかり身を背向けた。……すると……そうした気持ちにふさわしくそこいら中がモウ一度、彼の耳の中でシンカンとなった。
……その一刹那であった。
少女の枕元に当る大きな硝子窓の向うを、何かしら青白いものが、一直線にスウーと横切って行った。