Classici giapponesi con furigana
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しらゆきひめ
白雪姫
久生 十蘭
Leggi 白雪姫 (しらゆきひめ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.723 caratteri · 21 schermate
むこうの山の上にたぐまっていた墨を刷いたような雨雲がだんだんさがってきて、雲に漉された光の陰翳が、氷河をずっと大きく感じさせる。
ハナは頭から冷たい水でも浴びたように、凍りついた顔でだまりこんでいる。この壮大な景観の中で、どこの馬の骨とも知れないモデルあがりのフランス女を、どうなだめて歩かせようかと、思案顔で考えこんでいるバカらしさというものは、なんともいいようがない。このときほどハナを憎いと思ったことは、この六年の間、いちどもなかった。
時が経つ。死の影といったようなものが、忍び足でそろそろと迫ってくる。言葉の争いはもう役にたたない。どうするだろうと思って、阿曽が一人で歩きだすと、気が変ったのか、ハナが、だまってついてきた。
雪がなくなると、またうるさい氷の褶曲がでてきた。こんどの亀裂は、雪庇のついたチムニー式のやつで、十尺ほどの空隙を素性の知れない雪だまりで埋めていた。ためしに乗ってみる気にもなれない。阿曽は命の全量のかかった足を、雪だまりの端に置いたまま、踏みだそうかやめようかと迷っていたが、思いきって、一歩、踏みだした途端、膝のあたりまでズブリと雪の中に埋まってしまった。