Classici giapponesi con furigana
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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
Leggi 白髪小僧 (しらがこぞう) di 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.770 caratteri · 194 schermate
すると間もなく海の上に何か真黒な大きなのが出て来て、舷にドシンと打っつかった様子ですから、ソレッとばかり皆が手を添えて、船の上に引き上げました折柄、又一しきり吹き出した風に忽ち空の黒雲が裂けて、磨ぎ澄ましたような白い月の光りが、颯と輝き落ちて来ましたから、その光りで初めて浮き上ったものの正体を見ますと、皆の者は一度にワッと叫んで飛び退きました。
真黒く、又真白く湧き返る波の飛沫を浴みて、船の上に倒れているものは、見るからに凄い程光る白銀の鏡で、ギラギラ月の光りを照り返しています。そうしてその真中には顔や手足の肉が落ちて、濡れた髪毛をふり乱して、眼を剥き歯を噛み出した生きた骸骨のようなものが、呼吸をぜいぜい切らして、あおむけに寝ているではありませんか。皆の者はその恐ろしさ物凄さに、皆ペタペタと座ったまま、暫くは口も利けず、身体も固くなっていますと、今の怪物はなおも烈しい呼吸を続けて、唇を笛のようにヒューヒューと鳴らしていましたが、やがて片手で身体の綱を解いて、立ち上ってあたりを見まわしまして、皺枯れた声で――
「美留藻は帰ったか」
と尋ねました。その時その白い歯は、月の光りに輝いて、皆を嘲り笑っているように見えました。