Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ゆり

百合

芥川 竜之介

Leggi 百合 (ゆり) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4400 caratteri · 9 schermate

Aozora Bunko

「なあんだね、畑の土手にあるのかね?」

「ううん、畑の中にあるんだよ。この向うの麦畑の……」

金三はこう云いかけたなり、桑畑の畔へもぐりこんだ。桑畑の中生十文字はもう縦横に伸ばした枝に、二銭銅貨ほどの葉をつけていた。良平もその枝をくぐりくぐり、金三の跡を追って行った。彼の直鼻の先には継の当った金三の尻に、ほどけかかった帯が飛び廻っていた。

桑畑を向うに抜けた所はやっと節立った麦畑だった。金三は先に立ったまま、麦と桑とに挟まれた畔をもう一度右へ曲りかけた。素早い良平はその途端に金三の脇を走り抜けた。が、三間と走らない内に、腹を立てたらしい金三の声は、たちまち彼を立止らせてしまった。

「何だい、どこにあるか知ってもしない癖に!」

悄気返った良平はしぶしぶまた金三を先に立てた。二人はもう駈けなかった。互にむっつり黙ったまま、麦とすれすれに歩いて行った。しかしその麦畑の隅の、土手の築いてある側へ来ると、金三は急に良平の方へ笑い顔を振り向けながら、足もとの畦を指して見せた。

「こう、ここだよ。」

良平もそう云われた時にはすっかり不機嫌を忘れていた。

「どうね? どうね?」