Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とうなん

盗難

宮本 百合子

Leggi 盗難 (とうなん) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6371 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

しっかりしまって居る戸まで、泥棒はきっと斯んな手付きでやるのだろうと思って、わざわざこじって見たり引っぱって見たりした。

そして、そうやっても動かなければ私は安心したけれ共、少しでも隙が出来たり何かすると、弟共の机を持って来てけつまずきそうな所に置いて見たり、箒をよせかけて、泥棒が戸を破ってソロソロと頭を出すと、いきなり箒の柄がバターンと倒れて来て、いやと云う程横面を張り倒す様子を想像して、独りでホクホクして居た。

水口には、大バケツだの盥だのがウジャウジャと積んである。

湯殿の口には小さい妹の行水盥に水を一杯張ったのが、縦横に張り板をのせて据えて居る。

家中の、凡そ口と云う口には皆、異様な番人が長くなったり尖ったりして置いてあったのである。

私はこれなら大丈夫だと思った。

とにかく、今夜だけは大丈夫に違いないと安心した。まして、朝来た巡査は、今夜は御宅の周囲を注意して置きますと云って呉れた事を思い出してからは、益々心丈夫にならない訳には行かなかったのである。

こうやって立って行く四時まではどんなに、のろくさと、変な心持であった事か。

私は漸う世界が明るくなって来るまでは、若し泥棒がだんびらを下げてヌッと立ちはだかったら、どんな風に落付いてやろうか。