Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いしころ

石ころ

山本 周五郎

Leggi 石ころ (いしころ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.450 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

「かくべつどういう意味ということもないな」新蔵は遠くを見るような眼をした、「云ってみれば命を賭して闘った戦場の記念にという気持もある、だが、そういうことは別にしておれは石が好きなんだ、石といってもこういうありふれた凡々たる石がね、……世の中には翡翠とか、瑪瑙とか、紅玉とか水晶とか、玉髄とかいって貴顕富家に珍蔵される石もある、また姿の珍しさ色の微妙さを愛されて、庭を飾ったり置物にされたりする石もある、むろんそういう石にはそれだけの徳があるのだろう、けれども、見てごらん」かれは小石の一つを手に取り、妻に示しながらゆっくりと続けて云った。

「こんなのは何処にでもころげている、いたるところの道傍にいくらでもある、形も色も平々凡々でなんの奇もない、しかしよく見るとこいつは実になんともいえずつつましやかだ、みせびらかしもないし気取りもない、人に踏まれ馬に蹴られてもおとなしく黙ってころげている、あるがままにそっくり自分を投げだしている、おれはこの素朴さがたまらなく好きなんだ」

「それはそうでございましょうけれど、ただ素朴だというだけでは、いくら石でも有る甲斐がないのではございませんか」