Classici giapponesi con furigana
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いしころ
石ころ
山本 周五郎
Leggi 石ころ (いしころ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.450 caratteri · 23 schermate
――新蔵が先を乗るぞ。そう気づいたおどろきは譬えようもなかった。かれはわれを忘れて窪地をとびだし、「斬り込め」と絶叫しながら敵塁へ迫った。
砦の一角が崩れた、敵は弓鉄砲を捨て、刀を抜き槍をふるって押し返し戦った。万三郎はむにむさんに斬り込んだが、ふと見ると多田新蔵がひとりの鎧武者と刃を合わせている。「木暮弾正」と相手の名乗るのが聞えた。それはその塁の副将である、多田などの相手ではないと思って万三郎が駆けつけようとすると、新蔵はつぶての如く襲いかかって相手の脇壺を刺した。万三郎の眼には新蔵の右手が大きく動き、きらりと刃が光るとみえただけだった。木暮弾正は横ざまにどっと倒れた。――おお新蔵がやった。かれは思わず呻きごえをあげながら駆けつけた、しかし新蔵はもう向うへ走りだしていた。いま刺し止めた敵はそのままである、しるしをあげようともせず「討った」と名乗りもしない。倒れた敵を踏み越えてそのまま前へと斬り込んでいった。
「おい多田、しるしをあげてゆかぬか」
万三郎はけんめいに呼びかけた。新蔵はふり向きもしなかったが倒れていた木暮弾正がむっくと半身を起した。