Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぶてしんじゅう

礫心中

野村 胡堂

Leggi 礫心中 (つぶてしんじゅう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.190 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

「気障だねえ、人の肩に障ったりして」

「何?」

三右衛門の手を払い退けると、其儘スーッと立ち上りました。

「敵討に来たんだよ、退いておくれ、お前さんの禿頭と来た日にゃ、この節出来の、悪い小判の色そっくりだよ」

「や、女奴ッ」

追いすがる三右衛門を突き飛ばして、驚き騒ぐ朋輩芸者の中を、ツ、ツ、ツ、ツと潜ると、正面鳥居甲斐守の前、三尺とも距てぬところへ、片膝を立てて、トンと坐りました。裾を洩るる赤い襦袢、それが、甲斐守の眼に沁みるような絹ではありませんか。

「モシ、御前様え、――いやさ鳥居の鬼奉行様は、お前さんなんだねえ」

「こらッ、何んと言う無礼ッ」

掴みかかる三右衛門を、甲斐守は眼で制しました。

「予が鳥居なら、何んとする」

氷のような冷やかさ。

「鳥居甲斐なら言い分がある――、私の姉さんは、たった一枚しか無い絹物の襦袢を着て居たばかりに、お前さんの為に、日本橋で裸にされ、舌噛み切って死んで了ったよ、よもや知らないとは言うまい」

「…………」

甲斐守もギョッとしました、これが増田屋のお藤の妹とは、夢にも思わなかったのです。

「私も絹の襦袢を着て居るよ、――姉さんのは、それしか無いから、仕方無しに着たんだが、私のは眺えて拵えて飛切りの緋縮緬さ、三両二分とかかったよ、自慢じゃ無いが、私ほどの綺麗な肌を、ゴツゴツの木綿で包まれる