Classici giapponesi con furigana
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しんけい
神経
織田 作之助
Leggi 神経 (しんけい) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.754 caratteri · 28 schermate
「やア、到頭はじめたね」
と、はいって行くと、参ちゃんは、
「南で新刊を扱ってるのは、うちだけだす。日配でもあんたとこ一軒だけや言うて、激励してくれてまンねん」
と言い、そして南にあった大きな書店の名を二つ三つあげて、それらの本屋が皆つぶれてしまったのに「波屋」だけはごらんの通りなっているという意味のことを、店へはいっている客がびっくりするほどの大きな声で、早口に喋った。
しかし、パラパラと並べられてある書物や雑誌の数は、中学生の書棚より貧弱だった。店の真中に立てられている「波屋書房仮事務所」という大きな標札も、店の三分の二以上を占めている標札屋の商品の見本かと見間違えられそうだった。
「あ、そうそう、こないだ、わてのこと書きはりましたなア。殺生だっせエ」
参ちゃんは思いだしたようにそう言ったが、べつに怒ってる風も見えず、
「――花屋のおっさんにもあの雑誌見せたりました」
「へえ? 見せたのか」
「花屋も防空壕の上へトタンを張って、その中で住んだはりま。あない書かれたら、もう離れとうても千日前は離れられんいうてましたぜ」
そう聴くと、私はかえって「花屋」の主人に会うのが辛くなって、千日前は避けて通った。