Classici giapponesi con furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Leggi 神鷺之巻 (しんろのまき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.672 caratteri · 54 schermate
明神は女体におわす――爺さんがいうのであるが――それへ、詣ずるのは、石段の上の拝殿までだが、そこへ行くだけでさえ、清浄と斎戒がなければならぬ。奥の大巌の中腹に、祠が立って、恭しく斎き祭った神像は、大深秘で、軽々しく拝まれない――だから、参った処で、その効はあるまい……と行くのを留めたそうな口吻であった。
「ごく内々の事でがすがなす、明神様のお姿というのはなす。」
時に、勿体ないが、大破落壁した、この御堂の壇に、観音の緑髪、朱唇、白衣、白木彫の、み姿の、片扉金具の抜けて、自から開いた廚子から拝されて、誰が捧げたか、花瓶の雪の卯の花が、そのまま、御袖、裳に紛いつつ、銑吉が参らせた蝋燭の灯に、格天井を漏る昼の月影のごとく、ちらちらと薄青く、また金色の影がさす。
「なす、この観音様に、よう似てござらっしゃる、との事でなす。」……
ただこの観世音の麗相を、やや細面にして、玉の皓きがごとく、そして御髪が黒く、やっぱり唇は一点の紅である。
その明神は、白鷺の月冠をめしている。白衣で、袴は、白とも、緋ともいうが、夜の花の朧と思え。……
どの道、巌の奥殿の扉を開くわけには行かないのだから、偏に観世音を念じて、彼処の面影を偲べばよかろう。