Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
ことば尻には、泣き声じみた響きさえおびている。
初めは、笑っていた長屋中だが、これは、ただ事ならじと思ったか、軒々から、諸職の工匠たちが、裸足のまま飛び出して来て、たちまち、禿鳶のまわりを取りかこんだ。
「ど、どうしたんです。お手代さま」
「鳶七さま。どうして、仕事が取り止めになるんですえ」
「何も、いつぞやの註文だけを、頼ることはありますめえに」
がやがや噪ぎ立てると、鳶七はいきなりその肱や拳で、あたりの声を振り払った。
「ええい、うるせいわい。何も、てめえたちがいうほどなことなら、この鳶七が、こんな慌てざまをするものかよ。――見ていろ、縅だの、籠手脛当など、鎧具足を山と積んで、多寡をくくッていようものなら、ここの仕事場へも、六波羅検断所の御人数が、御用ッとばかり、やって来るから」
「げっ。六波羅ですって」
「そうよ。なんとか今夜中に、ここの鎧材料をみんな、穴でも掘って、匿してしまわなければ、奪上げられる。……いいか、みんな」
「だって。一体、どうしたわけで、そんなことに?」
「知らねえ、おれにも分らねえ。……けれどな、これだけは確かなんだよ。六年前だ、あの頃、正中ノ変と呼ばれた物騒な火を噴く山が、またぞろ、都のまン中で鳴り初めたのさ」