Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate

Aozora Bunko

長門、筑紫の探題の兵も、いざといわば、いつでも京へ馳せのぼせよう。関八州の兵はいわずもがなよ。なんで武力もない朝廷に謀反などを。……いや、もしその声ありとせば、事を好む人間どものあらぬ流説にちがいないわ。――さような者を取締まるこそ、六波羅の任。まずは、武者所の者二名を調べにつかわす程にしておけい。騒々しいこと、由来、高時は大の嫌いじゃ。そっと片づけい。すべてそっと」

これは高時として本当をいったものと思われる。地方の乱だの、重大な人事などに少し頭をつかうと、すぐ疲労を感じるらしく、今も女のような白い指でこめかみの辺を頻りにぐりぐりさせている彼であった。

彼が自分のこめかみに手をやって眉をひそめ出すときは、もう触らぬに限るのである。それは彼の思考力の限界と、次に起す小児病的な癇癖を予告しているものだった。

執権相模守高時

といえば、威は朝廷をこえ、世を震わす権力の象徴だったが、実体の彼は、まだ二十三、四にすぎない。しいて周囲から作られた人工の端厳美と、みずからの人間性とを、たとえば、牡丹と雑草のツルを一つ鉢にしたように、その身へ絡み合せて、常住の権威の座で、しばしば狂いもがいている人と見れば、むしろ憐れで、何もおかしいことはない。