Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate

Aozora Bunko

花の命は短くて――とはまま後宮の女性の喞ちごとであったが、廉子との御情交だけは異なものがあった。彼女の誇りも君寵も、眼にあまるものがある。

もっとも歴世、後宮の嬪には、大みきさきに次いで、女御、更衣など、寵妃の数にかぎりはない制度だったので、ひとり後醍醐のみを怨じ奉る筋あいもない。

それと、三十一という遅い御即位だったせいもあろう。

当時の人の筆に成る“増鏡”にも、他の一女性について。

――この大納言(藤原為世)の女、為子の君とて、坊(東宮)のおん時、かぎりなく思されたりし御腹に、一ノ御子(尊良)女三ノ御子(瓊子)、法親王(尊澄)など、あまたものし給ふ

と、見える。

すでに女性の御経験もこれほどでおわしたのである。思うに、天皇御自身は、後宮制度という百花の園においてのみ、その人間性を恣にできる天然の童のようなものだった。きれいと思えばむしり取り、飽いたとすれば抛ち、なお、好きで好きでならないものは、これを落花ひんぷんの棒になるまで離さない、いとも無著無造作な、お愛し方なのではなかろうか。

――近頃ですら、こんな話が洩れている。

やはり天皇の御寝に侍るひとりに、大納言ノ典侍という麗人がある。