Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
――きのう奈良街道で俊基朝臣が、おれの面を、似絵(似顔絵)に描いてやるなどと吐ざいた時もだ、腹では、くそでもくらえと思ったが、わざと尻尾を巻いて逃げ出したのも、今日のキメ手があったればこそだ。やい菊王、頼春。ここまで言ったら、もう観念がついたろう。悪い足掻きはよすがいい」
「…………」
「こう見えても、おれは六波羅の放免すべてを締めくくッている諜者組のかしら、本名忍ノ大蔵という者だ。忍というからには伊賀の産。――鎌倉殿から格別なお扱いをいただいて、三百ぢかい手下をバラ撒き、宮中なら御息所の床下から、清涼殿の梁の数まで読みそらんじている別拵えな人間様だぞ。……なんで日野朝臣や菊王ずれの公卿小僧に、この眼をあざむかれてたまるものか」
「う、うぬっ」
頼春が、一歩ニジリ出すと、彼も半歩ほど踵を退いて、
「なんだと」
「そう聞けば、なお以て、宮方のお為にも、生かしてはおけぬ」
「笑わすな」
大蔵は、また、あざ嘲った。
「この俺一人をすら、もてあましているくせに、それ、てめえたちの左右にもう来ている人数を、どう防ぐのだ」
それこそ彼の詭弁にちがいあるまい。二人はもとより真にうけなかった。