Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
正季とよばれた当の人は、
「はてな?」
見まもるだけで、
「そちは誰だ」
とのみ、小首をかしげ、すぐには思い出せぬ風だった。
が、菊王はなつかしげに。
「……あれは、もう五年ほど前。わがお主の密々な一書をたずさえ、水分の楠木正成様とだけを心あてに、忍びやかにお館を訪いまいらせ、幾日かを、泊めていただいたことがございまする。そして、よそながらその折りに」
「オオ。では日野殿の侍童で……あの頃はまだ幼びていたが……菊王とやら申した者か」
「そうです。その菊王でございまする」
「これはまた!」
正季は、連れの若者たちをかえりみて、言っていた。
「どうしよう。聞かれた通り、この者は、日野朝臣がまたなき者と頼んで、水分のお館へも、極秘な使いによこされた程な男だが」
「しかし、そちらのもう一名は」
「申しおくれました。それがしは……」
頼春も、俄にすすみ出て。
「いちどは、水分の御門をたたいたこともございますが、正成殿にはお会いかなわず、空しく世路を浪々しておるうち、日野朝臣のお口ききにて、今は石川の散所ノ太夫義辰殿の許に身をよせておる船木頼春という浪人にございまする」
「船木殿とはあなたか。