Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
ちょうど正成もそのいささかなおちつきにあった間のことである。――一族の楠木弥四郎や和田弥五郎など十騎ほどの従者にまもられて、正成の一子正行が、郷土南河内から、
「母ぎみのお使いで」
と、これへ父を訪ねてきた。
元服を去年すまして、幼名多聞丸を正行とあらため、ことし十四をかぞえる正行だった。もとより重大な使いならこの正行をよこすはずもない。去年いらい、正月も帰郷していない正成であったので、ここわずか戦陣も休止の都と窺って、おそらくは母から「……そっと父上にお会いして、御容子を見ておじゃれ。そしてお国元の幼い者から皆も無事息災におりますと、そなたからよう申し上げてもどるがよい」といわれたか、あるいは、父の顔見たさに、正行自身「何でも行きたい」と、せがんで来たかの、どちらかにちがいなかった。
――とは、正成も察している。そして正行が、
「これは、母ぎみからです」
と、父の前にかしこまってすぐさし出したのを披いて見ても、まずは何事もない妻の久子の手紙だった。その文中には、
……去年の冬から初春へかけて、都の御陣は、やごとなきあたりからあなたさまやら郎党たちまで、矢たけびのなかに明け暮れのおすごしとあるのに、河内の奥は何事ものう、正月は正月の真似びもしたり、この頃の麦踏み唄にも、近年にない百姓衆の長閑かな励みが見られる