Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
「む」
「それよりは、おやかた様、おととし、お坊さんをたくさん呼んで御供養なすった戦死者塚が途中方々にあったでしょ。そこへ埋けてやればよい」
「でもな……」
正成もぜひなく、たまにはそれへ返辞をしてやる――
「千早籠城から四年もたって、ゆくりなく、正成の手に拾われたその白骨だ……よほど宿縁……御寺まで連れて行って、参籠のついでに、よう御供養をして上げようよ」
「だって」
蔦王は、艶のない卵白色の物の眼窩を気味わるそうに手に覗いて。
「敵だか味方だかも分らないでしょ。こんな亡者」
「よいではないか、敵でも」
「敵は憎い。そうお思いになりません?」
「死ねばたれもおなじ相になるのだ。おまえの父も、東国で戦っている。東国の野で野晒となるかもしれん。正成もまた死ねばそのとおりな物になる」
「武士の家に生れたからにはしかたがないと、いわれています」
「だがの、憎しみ合いは、生きてる間でたくさんだろ。死者とは業を終ったひとのことだ。ほとけさまだ、そのなにもないきれいな相を見るがよい」
「ちっともきれいじゃありません」
「はははは、しかしもし、その白骨の人の妻なり子なりの手にそれが届けられたら、子は抱いて涙をそそぎ、妻は頬ずりもするであろう。