Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
「ごかんべんを……」と、一阿弥は、もう骨のない頸筋の持主みたいに「ついつい、つまらぬ戯れ言を口にしますので、村人からも、あれは半気狂いじゃ、ほら吹きよと、とかく嫌われておりまする私なので」
「ではほんとに、しんからそう思ったわけではないのですね」
「いけません」と、あたまをかかえ、そして腰を浮かせながら――「どうかもう、それにはお触れ下さいますな。お忘れくださいまし。はい、このとおりおわび申しあげまするで」
いかにも悄ンぼりした姿で彼はひょこひょこ帰り途へ歩きだしていた。その背は彼女のひとみの中にかすんでいた。彼女にはうすうすながらこんどの戦にのぞむ正成の心がわかっていないこともない。とくにいつもの発向とちがってこの数日をまだ御本屋のおくから起たずにいるなども、なにか後々のことまでを何くれとなく処理しておいでになるのではないかなどと女心の察しもしていたところなのである。
――やがて、彼女も主屋へ帰った。そしていつものように、釜殿の大土間で夕餉働きをしている女童や下部女にさしずなどしていると、遠い所の表門で、あわただしい駒音がひびいていた。
爺の恩智左近や、そのほかの侍たちが、すぐ駈け出て「――お待ちかねぞ、すぐ奥へ」