Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
……そのような正成に、若木のそちを共につれてゆくことはできぬ。そなたは正成のようなおろかしい道を践むな」
「…………」
「まず、あと淋しかろう母に成人を見せてやれ。この後は、ふるさとの河内一領を保ちえたら、それを以て、僥せとし、めったに無益な兵馬をうごかすでないぞ。ただ自分を作れ、自分を養え。そして一個の大人となったあかつきには、自然そなたとしての志も分別もついて来よう。その上は、そなた自身の一生だ。身の一命を、いかにつかうかも、そのときに悔いなき思慮をいたすがよい」
「…………」
「わかったか、正行」
「…………」
「わからぬのか」
「…………」
「これほど、理をわけて父が申すのに、なお得心がつかぬとは、そなたもほどの知れたやつ、頼もしからぬ子ではある」
「…………」
正行は顔を上げたが、何もいえなかった。父から頼もしくないといわれたのが一途に悲しそうで、ただ、けいれんする唇へ涙を吸っていた。それが、まだ三ツ四ツ頃の、あどけない泣き顔そッくりに親には見えた。
いまは親の身にとっても、心を鬼にして叱ッて帰すのが、絆を断つに、いちばんやさしいこととは思う。
正成も知らないではない。