Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate
帝には侍者の一名から「もう今日からは四月です」と聞かれたので、思わずお口をついてこの歌が出たのであろう。月日も都も、余りにかすんで、かえりみても、かえりみきれぬ。
行宮にあてられた三明院は「梅松論」に、
御座舟、美保ノ浦に着き給ふ。かりに、この津にありける古き御堂をもて、一夜の皇居となす。
とある、その古御堂か。
そしてここには、鎌倉の下知状によって、隠岐ノ判官清高が、帝のお身がらを引き継ぐため、大小幾十そうの船を艤して、早くから待っていた。
また出雲の守護、塩冶判官高貞なども、立会いとして、これへ臨んでいたので、三明院の野外は、時ならぬ兵の陣場となり、ふだん百戸に足らぬ浦の部落は、喧騒にあふれ返った。
折ふし、裏日本特有な波濤でもあったから、
「一両日は、風待ちせねば、渡海はなるまい」
と、観られていた。
着御の、その夜は休んで、あくる日、道誉は隠岐ノ判官佐々木清高を伴って、御堂の縁の砌に、二人してひざまずき、
「さて。御警固の儀も、ここからは、それがしの手を離れて、隠岐の配所における一切まで、これなる清高が代って、朝夕、勤侍つかまつることと相なりますゆえ、道誉同様に、何なと仰せつけ下しおかれますように」