Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate
山内は、上ノ堂、下ノ堂の二聚楽にかけて、岩磐を割るこだまやら工匠らの物声やらで、すさまじいばかりだった。……その中を、だ、だ、だッと駈け下りて来る一群のうちに、一ノ宮中務の尊良の顔もあった。
「宗良か」
「オ。兄ぎみ」
「ようまいられた。みかどにも、お待ちかねでいらせられる」
「叡山は、事やぶれました。面目もございませぬ」
「なんの、おもとのせいではない。いやそのために、六波羅の目もそれて、みかども、つつがのうお落ち出来たと申すもの」
「でも、破れは破れです。なんと父のみかどへ、おわびいたしましょうぞ」
「はや、それらの事情も、疾く聞こし召していらっしゃる。……そして、護良はいかにせし、宗良はどうしてと、さすが御父情、お案じあらせられていた折だ。この兄もおる。ここの砦の難攻不落なさまも見よ。……のう、気を強う持て、弟宮」
と、尊良はその胸に、露や草の実にまみれた弟の細い姿を抱きかかえた。
この兄宮と宗良とは、生母もおなじ兄弟だった。そしてその母、冷泉為子がすでに世に亡いひとである点でも、宗良は、
「……はい。……はい」
と、シャクリ上げたいような兄の温みと、なつかしみについ浸される姿だった。