Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate
「そこらの、読経の声は?」
「近くの山僧たちです。ご最期の手向けに、集うて来たもの。無下にも追えません。お心をなだめられ、彼らの往生の偈を、受けておやりくださいまし」
「嘘をいえ! そちが迎えにやった僧侶だろう」
具行は、看破した。
だが彼は、道誉の二タ股を、嘲ると共に、自分の未練な姿にも、辱を覚えた。
――いやもッと覚悟を急かれたのは、とたんに、田子六郎左衛門の影が、袖ダスキを結んで、道誉のうしろから、抜き刀をさげて、ツツとこっちへ歩いて来たことだった。
「待て!」
逍遥生死
四十二年
山河一革
天地洞然
こう、一気に筆を走らせ、
「いざ、斬れッ」
と、筆を投げた。
そして、せつなの、一秒の生の昇華が、叫ばせていた。
「道誉! わしの血が、明日の天下を洗い、わしの声が、次代の雲を撥ってゆくのを、眼に待っておれよ。……あははは、とんだ道化者に会うて、死出の道草を食ったわ。六郎左とやら、源中納言の介錯は、身に過ぎるぞ。ありがたいと思うてせよ。仕損じるな」
彼が、身を正そうとするのも待たず、六郎左の太刀は、そのとき、一震の黒雲を破ッた雷獣のごとく跳びかかって、そこだけを、ぱっと赤い霧の飛沫としていた。