Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate

Aozora Bunko

人を遠ざけて――。

両宮は、夜に入るまで、なにかヒソヒソ水入らずな談合だったが、お互い久しい苦吟の後、

「いまは早や、ぜひを問うてもいられん」

とのお声が洩れた。そして、

「かくなっては、かねて諜し合せていた通り御動座(天皇のお遷幸)を仰ぐしかあるまい。その一策あるのみだ。……やみやみ、座して鎌倉の魔手を待ってよいものか」

ついに、ご兄弟の意はそれと決したものらしい。やがてのこと、人を呼ぶお声があって、

「公人の森掃部に、すぐ罷れと申せ」

とあり、まっ暗な廊を走る足音をそこに聞いたのが、もう深更に近い頃。

公人とは、僧ではない。雑掌の上役とでもいえようか。荘園の貢税をつかさどる山門の武士である。その掃部は、倉皇として来て、み簾洩る灯の遠くに、平伏した。

「掃部……。火急だ」

大塔ノ宮は、待ちかねておられたように。

「かまわん、近う。ずっと近うすすめ」

「は。……はいっ。何事にござりましょうか」

「すぐ行って欲しい。この二通を持って」

と、宮は弟宮と連署の一札に、忠円の密書をも、併せて、

「これよりすぐ下山して、密かに禁中へ罷り、花山院(大納言師賢)か、万里小路(宣房)へこの二通を手わたし、時を措かず、奏聞に達せよと、くれぐれ申せ。