Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
鎌倉下向の、黒沼彦四郎と明石出雲介のふたりだったが、出雲介だけは、何といっても、下に着かず、
「むほん人に、土下座するいわれはない」
と、義貞を面罵した。
九代を通じての北条氏の恩顧をわすれたか、日和見武士、忘恩の徒と、唾して罵る。
日和見といわれた一語は、ひどく義貞のかんを突いたらしい。でなくてさえ、義貞にはよくカッと色をなす性情がある。つと、義貞の顔が横を向く。その面の冴えなど、美しい太刀の沸のようだった。
「新兵衛っ、ものいわすな、血祭りにしてしまえ!」
「はっ」
縄尻にひかえていた里見新兵衛のからだがとたんに躍ッた。おそろしく迅かったのでその太刀は出雲介の首の根を狙ッて右肩からあばらへ斜に通ったか否かも目にとまらないほどだった。だが、ぎゃっと声がした。下に坐っていた黒沼彦四郎の声だったのである。彦四郎のあたまの上へ、出雲介が仆れてきたので、同時に二人が斬られたような鮮血をかぶっていたのであった。
「船田の入道」
義貞は、うしろへ言った。一族の船田ノ入道善昌へあごをしゃくって。
「たしか、黒沼とかは、そちが妻の縁類にあたる者だったな」
「さようにござりまする」