Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate

Aozora Bunko

また、一ト張りの粗末な童輿も見え、一人の老武者は、すぐこっちへ向けて駈け降りてきた。

「お越しありしは、脇屋殿か」

「おお、義助です!」

「やれよかった。足利殿の留守居、紀ノ五左衛門でおざる。千寿王さまのお供して、からくもこれまでお連れ申しあげまいた」

まもなく義助は、千寿王の輿に付きそい、供の紀ノ五左衛門ら百人ほどをみちびいて、引っ返してくる様子だ。

遠くで、義貞はそれを見、ほほ笑ましげに、

「来たわ、稚子が」

と、つぶやいていた。

全軍へは「休メ」の号令がかかり、兵は急に、そのへんの青芒を大鎌でバラバラ刈った。

草ばかりな武蔵野の空の下である。薙ぎられた芒のあとは義貞の茵と千寿王のすわる座敷になった。――やがて輿からおろされた千寿王はほんとにきれいな稚子だった。かぞえ年五ツであった。でも躾はある。五左衛門に介添えされて、義貞の前に、ちょこんと坐った。そしてお辞儀をした。義貞もていねいに礼儀を返した。

「よう、つつがなく、わせられたの」

やさしい眼ざしをして見せながら、何かと、義貞はいたわった。

「さだめし、ご苦労なされたろうが、もう何もご心配はいらぬ。……この新田は、父御の足利どのとは、仲のよい友達じゃ。