Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
とにかく河内平野は、この戦勝で沸騰していた。兵は勝どきに酔い、散所民には、豊年だった。彼らは山野を走りまわって、東国勢の屍から、その持物を剥ぎ、肌着まで奪って、一夜のうちに、どの死骸もみな、まる裸にしてしまった。その景気が飢餓の町を、近年になくさんざめかせた。
「正季」
そんな中で、正成は弟をよんで、告げていた。
石川河原の、仮陣の夜だった。
「わしは明朝、いちど千早へ引きあげる。あとを、ようせよ」
「ここは」
「そちにまかす」
「かしこまりました」
「安間了現、神宮寺正師なども残しておく。なにせい、数千の降兵と、俄に、宮方へなびいた近国の武者どもが、河内一円にひしめき出していることだ。よほど統御がむずかしい」
「お案じなされますな。安間、神宮寺などは、武者扱いにそつのない老臣、よく相談してやりまする。はや掠奪乱暴などの雑訴が、寺や百姓のうちから頻々と出ておりますが」
「さっそく諸所へ、厳戒の制札を立てろ。また、令旨は、大塔ノ宮のおん名を以てするがいい」
「楠木家の名ではいけないのですか」
「領下だけならよいが、わが家は近郷の地主にすぎん。千早の籠城には、少なからず、宮のお援けもあったこと。