Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちちぶのけいこくび
秩父の渓谷美
木暮 理太郎
Leggi 秩父の渓谷美 (ちちぶのけいこくび) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4963 caratteri · 10 schermate
秩父から享ける感じは女性的であると私はいうた。それを味わうにふさわしい季節はどうしても春でなければならない。其春も五月下旬新緑の頃が最も好いのである。其頃の秩父を谷から谷へとさまよい歩く時の楽しさ。山頂近くの木立の中には、まだ二、三尺の雪は残っているけれども、麓は既に瑞々しい若葉の浅緑が暖い陽光にけむり、葉裏を洩れる日光は黄金の雨のように瀉いで来る。谷あいの草原を飾る落葉松や白樺の夢のように淡い翠、物寂びた郭公の声、咽ぶような山鳩のなく音、谷の空を横さまに鳴く杜鵑、時として栗鼠や兎の子などが路傍に戯れていることさえも珍しくなかった。そして一方では藤の花房を立てたように薄紫の花をつけた桐の木、屋根の棟に菁莪や、鳶尾などの青々と繁っている茅葺の家、そことなく洩れ来る梭の音に交って、うら若い女の歌う声、路のへに飛び交う燕の群。これが山に入り山から下る私達を送り迎えて呉れる山村の光景であった。
深林と渓谷の美を特色とする秩父の秋は、色彩に於ては春にも優って美しいものであるが、私の目的からは少しくそれているといわなければならぬ。況して寒巌枯木を主とする冬の季節は、特色を失った秩父を知る以外に用はない。