Classici giapponesi con furigana
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ちごがふち
稚子ヶ淵
小川 未明
Leggi 稚子ヶ淵 (ちごがふち) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4097 caratteri · 8 schermate
そうするときっとこのように好い声を出して泣くだろう……。されど身動きもせんで、熟と眸を青葉の上に落して、滅入るような日の光りを見つめていた。
すると池の上で先刻がたの鶺鴒が一声啼いて向うの岸に飛んで行くのである。二郎は、その鶺鴒の下りた林の方に目を移して又考え込んでしまう。
「ああ、姉さんは死んでしまったのか。」
と、この時遽かに独言のように溜息を吐いて目から涙が溢れる。しかし誰れも見ているのでないから、落つるままにしておくと、涙が頬を伝うてぽたぽたと膝の上に落ちた。
この時、何を思い立ったか、二郎は仰いで合歓の木を見上げたのである。
「大きな合歓の木だな、幾百年経ったろう……早く花が咲けば好いが、花が咲く時分になると村のお祭が何時でもあるんだ……しかし姉さんがいないから、寂しくてならん……盆になると姉さんは踊ったっけ……姉さんを村の者は美しいと言う。その噂を聞くと姉さんはいつも赤い顔をしたっけ……。ああ、つまらんつまらん姉さんは死んでしまったんだ。」
思い出すともなく、いつしか姉のことを思い出して二郎は泣いたり、又何か思うて笑ったりしているのである。