Classici giapponesi con furigana
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いのうはりまのかみ
稲生播磨守
林 不忘
Leggi 稲生播磨守 (いのうはりまのかみ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.172 caratteri · 29 schermate
面目ないが、おれと池田も、じつはその組で――。
池田 (うな垂れている郁之進を覗いて)それほど藩中の羨まれものだった貴公が、あんなに美しい掌中の玉、恋女房のお加世どのを殿に召し上げられたのだ。すこしは口惜しいと思わんか。
郁之進 それは人間自然の情で、口惜しいと思ったこともあるさ。
池田 (森に眼配せして)なに、口惜しいと?
郁之進 うむ、悲しみもした。苦しみもした。だが、その気持ちはみんな去った。今はもう何とも思っておらん。相手は殿じゃあないか。どうにもならん。ははは、いや、どうにもならんというよりは、あんな不束者がお眼に留まって、お側へとのお声がかかり、おれはほんとうに光栄だと思っている。ありがたいと思っている。加世は、謹しんで殿へ献上したのだよ。どうかもう心配しないでくれ。
突如池田が足を揚げて、郁之進を蹴倒す。
池田 意気地なし! 武士の風上に置けんやつとは、貴様のことだ! 人心はすでに殿を離れておるのだぞ。この腐れかかった封建制度は、今にも倒れんとしているのだ。おれにはそれがよくわかる。誰か一人、ここで下剋上の口火を切る者があれば、天下挙って起ち上るのだ。