Classici giapponesi con furigana
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くうちゅうせいふく
空中征服
賀川 豊彦
Leggi 空中征服 (くうちゅうせいふく) di 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.687 caratteri · 215 schermate
二人は高麗橋の畔まで来て立ち止まった。菊子は泣いている。
「菊ちゃん、なぜ泣くの! 」
「………………」
「菊ちゃん、あんたが泣いたら、私も悲しくなるよ」
島村も泣いている。
二人は高麗橋の欄干に寄って、しばらくの間泣いていた。しかしあまり泣いてても面白くないので、菊子は、橋の下を流れる水にガスの光が美しく映るのを凝視していた。
島村は相も変らず泣いている。水の上に流れる光が伸び縮みするのが、いかにも美しい。あの濁った横堀川が電燈の光で見ると竜宮にある泉水のように見える。
菊子はその美に引付けられて、島村の泣いているのを忘れたくらいであった。
流れる水と、自分の恋と、電燈の輝きで美しい夜の大阪とを考えの中で比較してみると自分が、自分に奇まれてくるほどおかしなものであった。
ことに島村が大きな男のくせに感傷的になって橋の欄干にもたれて泣いているのが、あまり小説めいているので、菊子は少し自分ながらおかしくなってクスクスと笑い出した。
すると、島村も袂で顔を隠して泣き笑いをしている。その笑いがしばらく続くと、島村は、
「おかしいな、菊子さん、なぜ恋はこんなに人間をセンチメンタルにするんだろうね。