Classici giapponesi con furigana
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くうそうにちろく
空想日録
寺田 寅彦
Leggi 空想日録 (くうそうにちろく) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.488 caratteri · 21 schermate
瞬間に過ぎ去るような現象を捕えるのにはやはり「水ぎわまでの間に敵を仕留める」呼吸を要するであろう。またそういう瞬間的な現象でなく持続的な現象でもそれが複雑に入り組んだものである場合にその中から一つの言明を抽出するのはやはり一つの早わざである。観察者の頭が現象の中へはいり込んで現象と歩調を保ちつついっしょに卍巴と駆けめぐらなければ動いているものはつかまえられない。
実験や観測でなくて純粋な理論的の考察であっても、一つの指導的なイデーが頭に浮かぶのは時としては瞬間的であって、そうして、かろうじて意識の水平線の上に現われるか現われないかという場合がある。それをうっかりしていると取り逃がしてしまって、再びはなかなか返って来ない事があるであろう。これを即座に捕え仕留めるのはやはり一種の早わざである。人間の頭の働き方はやはり天然現象に似た非再起的なトランシェントな経過をとる場合が多い。数学のような論理的な連鎖を追究する場合ですらも、漠然とした予想の霧の中から正しい真を抽出するには、やはりとぎすました解剖刀のねらいすました早わざが必要であろう。居眠りしながら歩いていたのでは国道でも田んぼへ落ちることなしに目的地へは行かれまい。