Classici giapponesi con furigana
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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Leggi 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 95.012 caratteri · 189 schermate
「瓦斯だッ」
と気のついたときには、既に遅かった。魚の腸が腐ったような異臭が、身の周りに漂っているのだった。胸の中は、灼鉄を突込まれたように痛み、それで咳が無暗に出て、一層苦しかった。胸から咽喉のあたりを締めつけられるような気がした。金魚のように、大きく口をパクパクやったが、呼吸はますます苦しくなった。頭がキリキリと痛くなり、眩暈がしてきた。前の人間の肩をつかもうとするが、もう駄目だった。地球が一と揺れゆれると、堅い大地が、イヤというほど腰骨にぶつかった。全身が、木の箱か、なんかになってしまったような感じだった。
「うー、痛ッ」
誰かが、太股を踏みつけた。
「うーむ」
腹の上を、靴で歩いている奴がいる。
「うわーッ」
胸の上で躍っているぞ。肋骨が折れる、折れる。
「ぎゃーッ」
頭を足蹴にされた。腹にも載った。胸元を踏みつけては、駆けだしてゆく。あッ、口中へ泥靴を……。
あとは、なにがなんだか判らなかった。
パタリパタリと、群衆は、障子を倒すように、折重なって倒れていった。
街の片端から、メラメラと火の手があがった。濛々と淡黄色を帯びた毒瓦斯が、霧のように渦を巻いて、路上一杯に匍ってゆく。