Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はこねのやま
箱根の山
田中 英光
Leggi 箱根の山 (はこねのやま) di 田中 英光 (たなかひでみつ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.963 caratteri · 33 schermate
「バカッ」大声で呶鳴り、私は夢中で柔かい子供の頬っぺたを思い切り、撲りつけた。「こらッ歩け、歩かないかッ。歩かなければ置いて行くぞッ」私が後髪を曳かれるように思いながらも、ムキになって一町ばかり歩き、怖々振り返ってみると、十間ばかり後から、子供が泣かないで蒼い顔のまま、ひょろひょろついてくるのが、とても小さく可憐に眼に焼きついた。
私はもう自分の疲労も、空腹も、意地も、意気ごみも、一種の狂気も忘れ、いきなり走り戻ると、一郎の前に背中を向けてやり、ぐんなり、崩れ、しっかり両手で纒りついたその小さい身体を、無言のまま背負い上げてやった。それだけで親子の間には気持の流れ通うものがあった。私は四貫ばかりの子供の肉の重みを、自分の肉よりも親しい大切なものに感じながら、眼頭を熱くさせ、飛ぶように路を急いだ。そして薄の両側に茂った路を、また、イヤになるほど歩いた揚句、やっと右側の路傍に一軒の汚ない茶屋を見つけだした。
それが神崎与五郎堪忍袋で知られた甘酒茶屋である由、店先の煤けた木札の説明で読み、やっと食物にありつけるかも知れないと、胸を躍らせ、汚ごれた硝子戸をがらりと開ければ、奥の一室に三、四人の工夫のような男たちが、上りこんで、山女魚の煮付かなにかを皿に盛り上げ、コップ酒を飲んでいたが、子供を背負った私のほうには