Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かがりびのおんな

篝火の女

吉川 英治

Leggi 篝火の女 (かがりびのおんな) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.727 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

その酬われる日は遂に来た。今夜こそ愛人に会える。愛人の兵馬はもうすぐそこの利根川原へ来ているのだ。自分のために、幾多の兵馬を犠牲にし、自分の一命をも陣頭に置いて、闘ってくれているのだ。

(勿体ない!)

黄金の輿、珠玉の輦もおろかである、女一人に、あまりに冥加にすぎた迎えであると八雲は思った。闇を走りながら、瞼の熱くなるのを覚えた。

そのかわりには、自分が、妻となったあかつきには、この千倍も良人の為に尽そう! この万倍も部下の兵たちを愛してやろう!

『わあっ……。わあっ……』

八雲はもう鬨の声の中だった。

弾丸が来る。――誰とかもわからぬ槍が突っかけて来る。腸を出した馬の腹が、横たわっていたり、旗差物の竿だけをつかんでいる兵が、

『畜生っ、畜生ッ』

虫の息で、死骸の中を這っていた。

『三郎様あッ……』

彼女の黒髪は、血なまぐさい闇を衝いて駈けまわった。

ざ、ざ、ざ、ざッ――と真っ黒な一群の騎馬武者が、夕立のように此っ方へ向って駈けてくる。北条勢に備えをくずされた前線の旗本らしかった。

『あれだ!』

八雲は、奔馬の群を待っていた。そして、先頭の華やかな武者のあぶみへ縋って、