Classici giapponesi con furigana
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こうばいのきゃく
紅梅の客
吉川 英治
Leggi 紅梅の客 (こうばいのきゃく) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7574 caratteri · 15 schermate
。ただ、明日は明日の風とばかりな明るい顔つきで、たそがれ頃まで他愛もなく遊んで行った。そして急に帰りしなになってふと、またいつ会えるかと冗談まじりに、本のとびらでも何でもいいから、何か、かたみに書いてくださいよとせがむので、そのとき著書の端か彼女らの懐紙に書いたのかそれは忘れてしまったが、三人それぞれに、こんなことを書いてやったのをおぼえている。
いくさやみぬ藪鶯も啼き出でよ
栄太郎へ
梅の戸へもと吉原の女客
せい子へ
そして、善孝へは、私の句でない、それは橘曙覧の歌の。
夕けむり今日は今日のみたてておけ
明日の焚木は明日とりて来む
――それから後、私も家ぐるみ東京へ出、また彼女らの姿もまま何かの会で見かけたり、ふと歌舞伎の廊下で『あら』と呼びかけられたりしてきたが、もう東京では、彼女たちを在る所に在らしめて半夜を互いに語り楽しもうとするよすがもない。いまの吉原は屋島壇ノ浦のあとのようなもので、観光バスからわれがちにこぼれ降りる所であり、おもかげを偲ぼうなどは無理である。いやなお、以前のほこりに似たようなものを胸に仕舞っているらしい彼女らには、逆な羞じらいもあるのだろうか。