Classici giapponesi con furigana
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じゅんすいしょうせつろん
純粋小説論
横光 利一
Leggi 純粋小説論 (じゅんすいしょうせつろん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.519 caratteri · 24 schermate
このとき、作者は、万難を切りぬけて、ともかく一応は幾人もの人間と顔を合せ、そうして、それらの人物の思うところをある関聯に於てとらえ、これを作者の思想と均衡させつつ、中心に向って集中して行かねばならぬ。このような小説構造の最因難な中で、一番作者に役立つものは、それは観察でもなければ、霊感でもなく、想像力でもない。スタイルという音符ばかりのものである。しかし、この音符を連ねる力は、ただ一つ作者の思想である。思想といっても、この思想を抽象的なものに考えたり、公式主義的な思考と考えるようなものには、アランの云ったように思想の何ものをも掴めないにちがいはないが、登場人物各人の尽くの思う内部を、一人の作者が尽く一人で掴むことなど不可能事であってみれば、何事か作者の企画に馳せ参ずる人物の廻転面の集合が、作者の内部と相関関係を保って進行しなければならぬ。このときその進行過程が初めて思想というある時間になる。けれども、ここに、近代小説にとっては、ただそればかりでは赦されぬ面倒な怪物が、新しく発見せられて来たのである。その怪物は現実に於て、着々有力な事実となり、今までの心理を崩し、道徳を崩し、理智を破り、感情を歪め、しかもそれらの混乱が新しい現実となって世間を動かして来た。