Classici giapponesi con furigana
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むらさきだいなごん
紫大納言
Leggi 紫大納言 (むらさきだいなごん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.899 caratteri · 26 schermate
が、大納言の足は重たく、すすまなかった。うちかけをかけてやる手も、延びなかった。うちかけは、無器用に、天女の肩のうえに落ちた。ずり落ちて、朱の裏をだし、やるせなかった。羅の白衣につつまれた天女の肩がむなしく現れ、つめたく、冴え冴えと、美しかった。
「山中は夜がひえます」
大納言は、立ちすくんで、つめたい、動かぬ人に、言った。自分の声とは思われぬ、むなしく、腑ぬけた、ひびきであった。
大納言は、悲しさに駆りたてられて、そのせつなさに、からだのちぎれる思いがした。
「五日です! ただ、五日です!」
大納言は、はらわたを搾るように、口走った。
「それ以上は、決して、おひきとめは致しませぬ。あなたのおからだに、指一本もふれますまい。夜は、この家に、泊りますまい。あやしい思いを、起すことすら、致しますまい。笛を落したあなたが悪い! それを拾わねばならなかった私の因縁が、どうにも、仕方がないのです。五日のあいだ! それは、仕方がありません! あした、あなたのお目覚めのころ、私の召使う者どもが、あなたの御こころを慰めるために、くさぐさの品と、地上の珍味をたずさえて、ここへお訪ねするでしょう。