Classici giapponesi con furigana
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ろうふうふ
老夫婦
黒島 伝治
Leggi 老夫婦 (ろうふうふ) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.957 caratteri · 27 schermate
最後に残してあった屋敷と、附近の畑まで、清三の病気のために書き入れなければならなくなった。
清三は卒業前に就職口が決定する筈だった。両人は、息子からの知らせが来るのを楽しみに待っていた。大きな会社にはいるのだろうと彼等はまだ見ぬ東京のことを想像して話しあった。そのうちに、両人も東京へ行けるかも知れない。
三月半ばのある日、おしかは夕飯の仕度に為吉よりも一と足さきに畑から帰った。すると上り口の障子の破れから投げ込まれた息子の手紙があった。彼女は早速封を切った。おしかは、文字が読めなかった。しかし、なぜかなつかしくって、息子がインキで罫紙に書いた手紙を、鼻さきへ持って行って嗅いで見た。清三の臭いがしているように思われた。やがて為吉が帰ると、彼女はまっ先に手紙を見せた。
為吉は竈の前につくばって焚き火の明りでそれを見たが、老いた眼には分らなかった。彼は土足のまゝ座敷へ這い上ってランプの灯を大きくした。
「何ぞえいことが書いてあるかよ?」おしかは為吉の傍へすりよって訊ねた。
「どう云うて来とるぞいの?」
しかし為吉は黙って二度繰りかえして読んだ。笑顔が現われて来なかった。