Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みみこうすい

耳香水

大倉 燁子

Leggi 耳香水 (みみこうすい) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.465 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

と云って張氏はお腹を抱えて笑うので、それに釣り込まれて妻君も笑いながら申しました。

『嘸冷ッこかッたでしょう。死人の唇――、あのぶよぶよした男の――』

『でも――。余り急遽しいじゃないの?』

と私が云いますと、張氏はにやにやして答えるのです。

『なあに、男に夢中になッている間はそんなもんですよ』

『相手の男はどんな人なの?』

『西洋人ですよ。若い、好い男でさあ』

『その男、遂々来なかッたんですか?』

『来たんですよ。恰度その騒ぎの真最中、ふらりと入ッて来ましたがね。――お巡査さんの姿を見ると慌てて、逃げ出しちゃッたんです。女給さんは女給さんでその男を見ると風のようにすりぬけて往来へ飛び出して行ッちゃッたんです。ほんとに変な人達で可笑しくなッちまいます』

果してその女とK夫人とが同じ人であるかどうか、これだけの話を聞いて、直ちに彼女であると断定を下すわけにはまいりませんが、私が往来で見た女給風の女は、最初出逢ッた時、恐しく、苦しげな息遣いをしていました。重病人か、さもなくば恐しい出来事にでも打つかってきた人か、とにかく普通の状態ではありませんでした。が、空家のような家から出て来た時の彼女は少しも病人らしい処はありませんでしたからね。