Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みみこうすい

耳香水

大倉 燁子

Leggi 耳香水 (みみこうすい) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.465 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

どうもあれが鼠色の男だろう。だろうというのがいつかそうだとなり、彼は義賊だと云い触す者も出来て、正体の分らない人に人気が出ましてね、一方では恐怖れ、一方では慕われるという矛盾した状態にまでなったんです。

K夫人を殺したのも無論その鼠色の男だということなのですが、しかしその犯人は一向捕まらないのですから、被害者の夫は憤慨して領事館を通じ、支那警察に対して厳重に抗議をしたんです。

するとまた犯人は直ぐと捕ったんですよ。鼠色の男だなどと謳われた義賊らしくもなく、から意気地のない、へなへなした苦力のような男でした。多分狼狽した結果、金で買ってきた偽犯人なのでしょうねえ。

ただ不思議なのはその男が捕縛されて以来、鼠色の男はどこにも現れなくなり、彼から被害を受けるという事は全然なくなりました。捕ったのは真物の犯人だったのか、あるいは義賊と云われるほどの人ですから、自分の身代りに斬首される人間まで出て来ては申訳ないという考えから善心に立ち還ったものか、そこはよく分りませんが――。

私がこれからお話しようというのは、その美しかったK夫人についてです。殺される二週間ほど前にある処で、偶然、彼女を見ましたのです。