Classici giapponesi con furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate
その全体において、さきに劇場にいる友人に紹介した時よりも熱がさめていたので、調子が冷静であった。無論、友人に対する考えと先輩に対する心持ちとは、また、違っていたのだ。ただ、心配なのは承知してくれるか、どうかということだ。
「もう、書けたの?」吉弥は待ちどおしそうに尋ねた。
「ああ」と、僕の返事には力がなかった。
僕は寝ころんでがぶかぶ三、四杯を独りで傾けた。
「あたいも書こう」と、吉弥が今度は筆を取り、僕の投げ出した足を尻に敷いて、肘をつき、しきりに何か書き出した。
僕は手をたたいて人を呼び、まだ起きているだろうからと、印紙を買って投函することを命じた。一つは、そこの家族を安心させるためであったが、もし出来ない返事が来たらどうしようと、心は息詰まるように苦しかった。
「………」吉弥もまた短い手紙を書きあげたのを、自慢そうだ――
「どれ見せろ」と、僕は取って見た。
下手くそな仮名文字だが、やッとその意だけは通じている。さきに僕がかの女のお袋に尋ねて、吉弥は小学校を出たかというと、学校へはやらなかったので、わずかに新聞を拾い読みすることが出来るくらいで、役者になってもせりふの覚えが悪かろうと答える。