Classici giapponesi con furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate
やがてはしご段をあがって、廊下に違った足音がすると思うと、吉弥が銚子を持って来たのだ。けさ見た素顔やなりふりとは違って、尋常な芸者に出来あがっている。
「けさほどは失礼致しました」と、しとやかながら冷かすように手をついた。
「僕こそお礼を言いに来たのかも知れません」
「かも知れませんでは、お礼になりますまい!」
「いや、どうも――それでは、ありがとうござります」
と、僕はわざとらしくあたまを下げた。
「まア、それで、あたい気がすんだ、わ」
吉弥はお貞を見て、勝利がおに扇子を使った。
「全体、まア」と、はじめから怪幻な様子をしていたお貞が、「どうしたことよ、出し抜けになぞ見たようで?」
「なアに、おッ母さん、けさ、僕が落したがま口を拾ってもらったんです」というと、その跡は吉弥の笑い声で説明された。
「それでは、いッそだまっておれば儲かったのに」
「ほんとに、あたい、そうしたらよかった」
「あいにく銅貨が二、三銭と来たら、いかに吉弥さんでも驚くだろう」
「この子はなかなか欲張りですよ」
「あら、叔母さん、そんなことはないわ」
「まア、一つさしましょう」と、僕は吉弥に猪口を渡して、「今お座敷は明いているだろうか?」